書いたら分かると思ってた。

そんな頃もありました。

2月に観た映画の話

そういえば書いてなかったなあということで。(『母と暮らせば』)、『ニューヨーク、眺めのいい部屋売ります』、『キャロル』、『同級生』、『シャーロック 呪われた花嫁』の簡単な感想です。ネタバレを含むのでご注意ください。

 

 

 

1. 『母と暮らせば』 http://hahatokuraseba.jp/

privatterで個別記事を書いたので、そのうちブログに移します。
→ 移しました。 (2016/03/19)

xxxmeltdown.hatenablog.com

 

 

 

2. 『ニューヨーク、眺めのいい部屋売ります』 http://www.nagamenoiiheya.net/sp/index.html

先生……ぼく……ダイアン・キートンになりたい……_(:3 」∠)_

最初シネマカリテに行ったら激混みでチケ買えなかったよね!開演よりだいぶ前に行ったのに!シネスイッチ銀座で辛うじて観られた。やってくれる館、少なすぎ…!

ルース(ダイアン・キートン)とアレックス(モーガン・フリーマン)の夫婦、ブルックリンの我が家は気に入っているけれど、エレベーターがないことがそろそろいい歳のアレックス(と愛犬)にはキツくて、見兼ねたルースは夫のために今の部屋を売ってエレベーター付の部屋に引っ越そうと計画。本当は今の部屋を離れたくないアレックスもルースの気持ちを汲んで黙っている。だけどいざ売るとなるとあれやこれやと大変で……という話。

ケンカもするけどお互い深く愛し合っている凸凹コンビ的な老夫婦を名優2人が余裕ある芝居で魅せていて、ああこんな風にパートナーと歳とれたら最高だな……と思わせる説得力。ガンガン行くルースとおっとりしたアレックスのキャラに、それぞれの俳優のパブリックイメージが重なっても見えたり。

あと、「迷った時は基本に立ち返って最優先事項を確認しよう」「誰かと何かをする時は目的と意図についてよく話し合い合意を形成しよう」という、仕事だったらごく当たり前のことはプライベートでも大事なのよ……って思いながら観ていた。親しい間柄であればあるほど、その辺を慮りあってよく分からないことになったり。

無難に破綻なくまとまったストーリーと画面のおかげで、主演2人の演技をじっくり楽しめた1本だった。あ〜〜ダイアン・キートンみたいになりたい……ああいうスマートで頭良さそうな女の人になりたい……。

 

 

3. 『キャロル』 http://carol-movie.com/

ひとりのレズビアンとしてスルーできず、予告編が映画館で流れていた頃からソワソワしていた1本。

なんかもう、キャロル役のケイト様が、ケイト・ブランシェットが卑怯すぎてあんなん惚れるしかないじゃないですかってジタバタしながら観ていた。過去に浮気してたり離婚予定とはいえ法律婚しているくせに若い女の子引っ掛けたりと、アカンところがいっぱいあるのに、それでもあんな美しいお姉様に傲然と微笑まれたらグラッとくるしかないですわ。しかもそれで無邪気な面とか弱い面とか見せられちゃったらもう、あれは逃げられないって。抵抗は不可能。無理。

テレーズ役のルーニー・マーラは『ドラゴンタトゥーの女』の印象があまりにも強かったんだけど、今回あれとは全然違う演技で、最初誰だか分からなかった。表情がとても良い役者さん。

映画序盤ではしがらみに絡め取られていたり意思表示が弱かったりする2人が、逃避行を経て腹を括って、最後は自分の足で立つ2人の人間として関係の結び直しを選択する、あの終わり方がとても好きだった。

ストーリーの起伏は少ないし、決定的な台詞もなかなかないし、ひたすらオーディエンスにわずかな表情と大量の行間を読ませる映画なので、そういうの好きじゃない人は退屈かもしれない。私は行間を読むことに命をかけるタイプのオタクなので楽しかったけど。でも、そんな風に徹底的に抑制した表現を続けたからこそ、ラストシーンの緊迫感と主演2人の表情の雄弁さが輝くんだとおもう。

いやしかし、あのラストシーンはハラハラしたな……テレーズのことを「頼む!頼むからそっち行って!そっち行ってくれ!そうじゃないと(観てる私の気持ちが)救われない!」って手に汗を握りながら見守っていた。

あとこの映画、手がものすごく雄弁だった。映画冒頭でテレーズの肩におかれたキャロルの手なんかもう、全てを物語るくらい雄弁で。ほんとことあるごとに手が映る映画で、どっかで見た「レズビアン作品における手は性の暗喩」みたいな話をおもいだした。

淡々としかし誠実に、センセーショナルな方向に流れることなく、ヘテロ落ちにすることもなく、女2人の関係を描いたいい映画だった。同性愛が絡む作品にいつまでも「禁断の」って煽り文句をつけているどこかの国のエンタメ界からこういう作品が出てくるのは……何時の日になることやら……。

 

 

4. 『同級生』 http://www.dou-kyu-sei.com/

キャロルからのBLという流れ……。中村明日美子の原作がめちゃくちゃ好きなんだけれど、アニメーションになってもあの空気が全く損なわれていないというか、中村明日美子の絵がそのまま動いているような、すごい1本だった。キスシーンがめっちゃえろかったけど、あのシーンを作るためにゲイビを見たという制作陣のエピソードを聞いた時、このスタッフめっちゃ推せるってなった。

音楽も場面や登場人物の心に控えめに寄り添って繊細に揺れる素晴らしさで、誰が作ってるんだと思ったら押尾コータローで、そりゃ最高だわ〜…と。しかも主題歌は押尾コータローGalileo Galileiのコラボだし。そりゃ最高だわ(2回目)。

草壁の真っ直ぐな健やかさは原作でも目にしみるけど、アニメで声がついてモノローグまで声が入ると、目に沁みる通り越して眩しさで目がつぶれるかと思った。あんな……青春を……過ごしたかった……とノンケを好きになってはしんどいことになるという拗れ切った思春期を過ごした同性愛者は目頭をおさえるしかない。

ところで、ハラセンの声を聞いた瞬間に「この声は……石川英郎!」ってなったあたり、私の耳もまだ頑張れるなって。うん。

 

 

5. 『シャーロック 呪われた花嫁』

公式による二次創作(時代物パロ)、あるいはお盆か正月の特別編。ちょっと……あの……シーズン3見てから出直してきます……。

いや……しかしまあ……腐女子がよくやるパロからの夢オチをまさか大スクリーンで観るとは思わなかったわ……。